古い建築物が町の味わいとリズムを作るのです<倉庫リノベ物件探訪⓪>

2021年12月16日木曜日

social 街づくり

  建築基準法の耐震規制を、忌まわしく思っています。

 地震国日本でいったい何を!?と言われそうですが、これが日本をつまらなくしてきたと言えば、言いすぎでしょうか。

日本の歴史的建物が次々と壊されている本当の理由(加谷 珪一) 

 これによると、尼崎市内の洋風建築「ユニチカ記念館」、神保町ビル別館、丹下健三の設計による「赤坂プリンスホテル」、日本モダニズム建築の傑作「ホテルオークラ東京本館」と、次々昭和の名建築が改修費用を捻出できずに解体されていきました。

 この「耐震規制」ってやつは、地震にかこつけた土建業界の陰謀(つまりは土建屋と政治が手をつないで、まだまだ使える住宅の延命を拒否してそれを経済循環に組み込んできた)だとうすうす思ってきましたが、加谷 珪一氏もこの記事で同じようなことを述べています。 

「建造物を建てては壊すといった、いわゆる新規の建設需要で経済を回すのは、かつての中国など発展途上国が採用する成長モデル…先進国の場合、古い建物を活用することで、そこに付加価値を生み出す成熟型モデルを採用した方が圧倒的に大きな利益を得られる」と。

  先日彦根の史跡にも指定されている「山の湯」(1879年創業・左画像)で何か大掛かりな撮影が行われていて、たまたま通りかかって、何事かと思ったのですが、あとで聞けば俳優の岡田准一が来ていたそうで、 もうちょっとちゃんとのぞけばよかったと後悔しました。

 自宅に近いもので、通りかかるたびに朽ちていく「山の湯」を見ると胸が痛みます。欄干がはずれ、瓦がずれて、人がいないと建物はこうも荒れるものかと溜息が出ます。

 同じく中央町にある彦根市の史跡「金亀会館」(右)の現状はさらに無惨。傾きかけていて、今は立ち入り禁止。早晩台風などの荒天に被災して、撤去されて原っぱに戻るでしょう。彦根市がそれを待ち望んでいるように思えます。

 山の湯もその轍を踏んで失われることは今のあり様では自明です。

 あと滋賀銀行の銀座支店。 これも史跡だと聞きますが、今年2月に閉店して、あとがどうなるのか、うちの社長は彦根市が資料館にするんじゃないかなどと言っていますが、私の見立ては悲観的です。彦根市のスピード感だと、業を煮やして滋賀銀が更地にして売却する可能性すらあり得ます。

 彦根市、ぐずぐずしてねえでどうにかしろよヾ(*`Д´)ノこんなもん、一回なくなっちゃったら取り返しがつかないんだから。民間は回答保留にしてるだけで維持費がかかるんだからな! バカじゃないの?( ゚Д゚)

 古い建物、しかも今も生きて使われている建物(芸術的かどうかは問いません。使われ方次第)がなぜ貴重か、それは街並みに味わいとリズムを生みだすからです。 

 なのに耐震や予算不足を理由に放置、或いは単なる解体を迫る国の政策にはっきり異論があります。まあね、彦根銀座のシャッター商店街の建物に価値があるとは言わないよ。

 でも、新しく作った街並みと、古くからあるものが続いている町並みは明らかに違うのです。それは、夢京橋と京都や金沢を比べてみれば一目瞭然です。夢京橋で商売をやってる方々には申し訳ない物言いだけれど、あそこらへんは、私が子供のころには市場商店街と本町で今とは全然違っていた。ぼろぼろのアーケード街だった市場商店街が生き残れたとは思えないけれど、体裁だけ古くしつらえた新しい観光商店街はディズニーと同じテーマパークです。      

 仕方がないと思いながら、古くからの彦根市民は、何かが違うよね、とあれを見て思うと私は考えます。ただ、そうせざるを得なかった根底にはやはり国の「作って壊して経済を回せ」という途上国型の政策基準が支配していたのではないかと、私は思うのです。(もちろん彦根市の行政に遠望深慮がなくて、抗う知見も意識もなかったってのはありますけど)

 

  本来、書こうと思った内容から、大きく逸脱しています。

 私はそもそも、なぜnonoHanaプロジェクトに、建て替えではなく倉庫リノベーションを選んだのかという話と、全国の倉庫リノベーション物件の現状を、今春いくつか見学してきた物件のレポートを交えつつ書くつもりでした。まあ、横道。(゚Д゚;)

 長くなってきましたので、 そろそろ稿を〆ちゃえと思いますが、次稿以降、もう少し気楽に見学してきた倉庫リノベ物件を紹介しつつ、なぜ新築じゃなくて、リユースやリノベーションが街づくりに有効なのか考えていこうかと思います。

 ●普通のお店じゃつまらない!全国にあった素敵な倉庫カフェ7選 

倉庫リノベーション

* 今検索サーフィンしててみつけましたけど、コンセプトおもしろいけどサイトのデザイン性と操作性が最悪。もったいないなあ。

湖東唯一の銭湯・山の湯が8月末で廃業 (滋賀彦根新聞)