・福島県南相馬市小高に新たな文化拠点が誕生|南相馬でブックカフェを営む小説家の柳美里さんが小劇場・ミニシアターを企画。集まれる場所を作ることへの思いを聞く(4/19)
著名な作家で最近では『JR上野駅公園口』が全米図書協会賞を受賞した柳さんですから、ネットニュースなどで書店を開業されたという事は知っていました。しかし、実際その経緯を聞いてみると、事業計画ありきではなく、相馬に縁があってだんだんと引き込まれたように思います。
柳さんは相馬市のブックカフェに隣接する倉庫を劇場に改修するためのクラウドファンディングをされてます。
・原発事故の旧警戒区域内にあった古い倉庫を、 小劇場&ミニシアターとして生まれ変わらせるクラウドファンディング(モーションギャラリー)
このプロジェクトで注目すべきは、事業の多くをクラウドファンディングで進行していること。
書店を開業して、まずは本の仕入れをするために第一弾のクラファンをし890万を調達、第2弾で初期投資のために1800万円再度調達、そして今回劇場を整備するために 2000万円のクラウドファンディングへの協力を呼び掛けています。
説明するか迷うところですが、うちのブログをうちの社長(御年93歳)がたまに読むので注釈します。
クラウドファンディングとはネットでその事業に共感する人から少額出資でリターン付きの出資を募り、事業実現に結び付ける、手数料あり、利子なしの近年大きく拡大した金融サービスです。このシステムのいいところは事業成功ありきではないんですね。儲からなくてもいい点。また資金提供した人が心理的な事業の応援者になる可能性が高く、開業前に顧客を獲得できる点にあります。自治体が「ふるさと納税」的に地域サービスを充実させるために募ることもあります。
銀行に頭を下げてお金を借りるのと、どっちがいいか考えたときに、公共性と実現性のある夢ならばクラウドファンディングはかなり有効な資金調達だと考えます。
また、もう1点、このプロジェクトが金儲けではなく「こころざし」ありきでなされていることに非常に好感を持ちます。以前、やはりポリタスTVで町おこし、村おこしについてとりあげられたときに(青木理さんの出演する月曜回)、行政がコンサルに頼った結果、はいりもしない箱モノが次々と建設され、最後は皆廃墟になった「道の駅の残骸」が全国あまねくある!という話をされてました。箱あって人材なしの事業破綻!
町おこしは、箱物ありきでは沈没するのです。
逆に成功したところは、地域コーディネーターが地域住民の人間関係を丁寧にリサーチし、つなげ、プロジェクトの人材、エンジンをきちんと「整備」してからプロジェクトを立ち上げたところだっと言います。まず人づくり、縁づくりが大事という事。
そう考えたときに燃えたぎる使命感で移住したわけではなく、たまたま震災後の地域FMのパーソナリティの仕事の依頼があり、週1で鎌倉から南相馬に通う縁があった柳美里さんが最終的に相馬に移住し、その地域に足りないものや、あったらいいものを考え、書店をはじめ、地域の人々の居場所を作り、今度は劇場をも作ろうというのは理想的な運びだなと感嘆しました。
地域の書店やカフェがつぶれまくっている現状に、スガ内閣の成長戦略会議の議員を務めたデーヴィッド・アトキンソン氏が
「スターバックスが来れば、よくありませんか」 (゜.゜)
とツイートしてましたが、金の切れ目が縁の切れ目のスタバじゃ地域の支えにはなりません。確かに大多数のひなびた地方の書店も喫茶店も、あってもなくてもいいものであることは否定しません。でも、誰かを助けるとか、誰かの居場所を作るとか、誰かの人生を変えるとかいうのは多分スタバや蔦屋書店ではできないことだと私は思います。
彦根にそういう場所があるのかないのか
あってほしいなと密かに思っています。
*うちのブログの現状のアクセス数だとお役に立てないと思うけれど、動画をご覧になって共感した方はクラウドファンディングにぜひご協力くださいませ。
(あと1週間で締め切り)
追記)
有料会員じゃないので聞きなおしができないのですが、以前のポリタスTVで、地域おこしは中途半端に利権が残ってるところは市会議員や町会議員が介入してきて失敗する、と言っていたのが印象的でした。財政再建自治体とか、たかるべき利権が失われたところのほうがうまくいくそうです。
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