来ましたね。コロナ第6波。あっさり全国感染者、4万人を突破。まあ、とられる対策に既視感のあること!家庭内感染が主流なのにまた飲食店の営業時間制限ですって!この国は学ばないねえ。(゜.゜)
コロナが怖いのはその感染や病症より社会や通常医療を崩壊させることです。4万で驚いてる場合じゃない。他国を見ると日本も1日40万人くらい行く可能性がある。 だって1年前、私たちは4000人でもビビってたんですから。
病院がコロナ患者で占有されると、通常医療が回らなくなります。自然災害や交通事故の重傷者や、生死に関わる急病、重病の手術などが応急のみ、または先伸ばしにされ、結果として命を落とす「コロナ関連死」が拡大することに危惧しています。せめて交通事故には遭わないよう、特にこの冬はお気を付けください。
立憲民主党の小川淳也氏に光を当てた『なぜ君は総理大臣になれないのか』の続編、公開中の『香川一区』(大島新監督)を観てきました。非常に面白かったけれど、今回取り上げたいのは2020年8月に公開された富山チューリップテレビ制作『はりぼて』(監督 五百旗頭幸男、砂沢智史)についてです
ネトフリかアマプラでも見られると思いますが、 CSやケーブルを受信できる方は今週末23日日本映画チャンネルで再放送があります。
物語、って言うかドキュメンタリーなんですけど、事の発端は2016年、富山市議会議員40人の7割を占める自民党会派の議員達が議会報酬を月10万円分上げて、年収を1160万にしろという議案を出したこと。そのリーダーは中川勇という人で、自民党議員が7割も占めているので、自分たちの給料上げろって自分たちで通しちゃう!
せっかくなので調べてみましたけど、彦根市議会議員の報酬は給与が月額 40万5000円で県下3位(×12)、期末手当が給与報酬の1割×年2回として97万2000円、合計でざっくり年収583万2000円、政務活動費が年24万円でした。定数は24です。妥当かどうかは微妙なところです。
『はりぼて』の話に戻しますが、富山市民の年収は447万円で彼らが要求した妥当だとする報酬1160万円はその倍以上!この異様さに気づいて、チューリップテレビは取材を続けます。
彼らは「お金が足りない」って言うけれど、その給料とは別に毎月15万円の政務活動費を受け取っている。それがちゃんと使われてるかどうかを、市に情報公開してチェックしていくとなんかおかしい。市の公民館とかで彼らの市政報告会をやってて、そこでパンフレットを刷って、印刷代とかの経費が計上されてるけど、調べてみると、公民館使ってないしそのパンフレットも刷ってない。白紙領収書を印刷所に出させて、そこに勝手に額を書き込んだり、領収書の額面に数字書き足して一桁増やしたり…。
それで、まず、その自分の給料上げろってふうに議案を出した一番のリーダーの中川氏が辞職、そこからなんと議員定数40人のうち14人が、半年の間に次々辞職するという事態になっていく。ほぼ全員が常習的に不正をやって、それが自民党の会派内で公然と共有されていた。辞職議員の一人の言い訳が「飲むのが好きなもんでね」とはなんとも卑しい。
更に情報公開を市に依頼したら、市が議員たちにチクってたという不祥事まで判明。市と市議会がグルで、議員に証拠隠滅を示唆していました。
富山市民からしたら腸が煮えくり返りそうな内容で、見ていると絶望的な内容なんですけど、映画の建付けが「喜劇」なんですよ。合間合間に吉本新喜劇のオープニングみたいな滑稽でおまぬけな音楽が挟まれる。ほら、またあったでしょ、こっちもでしょ、ほらほら、こいつも!ぜーーんぶ腐ってました、ちゃんちゃん!っていう。
ただね、これが一番問題なのはだーれも調べなかったということ。本当に子供だましの手口だったにもかかわらず、市民が無関心だった。
ジャーナリストの畠山理仁氏によると、 今、日本中の地方の市議会とか区議会ってこんな感じなんだそうです。『はりぼて』というのは縮図。日本の。すべての場所でこういうことが行われてる。日本はめちゃくちゃなんです。
なぜ、こうなるかと言うと、まず市議会レベルだと、せいぜい500-2000票取れれば、年収700-1000万円クラスの議員になれちゃうのです。彦根市議会議員の落選ラインって何票かご存じですか??
2019年4月の彦根市議会議員選挙で(有権者数 90,414人・投票率 43.39% )24名の定員に対して出馬したのはわずか26名。最下位当選の獲得票が870票、最下位落選が829票です。そりゃ投票率も下がると思うわ。落としたい不正議員が落とせないんだから。
なら、「本当に24名の議員がいるのか」という議論は彼らは絶対にしない。「職業」的に継続している「政治屋」としての身分を失う危険があるから。国会からしてあれですから、本当に夕張市のように破綻しない限り、少なからぬ「政治屋」どもはは自らの血肉を切ることはしないでしょう。
私は20名で十分だと思うけど。或いは兼業可能の市民参加型で報酬を5分の1にして、100名の市民議員を募るとか、常勤議員、非常勤議員を取り混ぜて、非常勤議員は抽選で選ぶとか、やりようがあると思うけれど、なぜこんな悲惨なことになってるかと言えば、すべて市民が無関心だからにほかなりません。
結果として、今はどこの議会にも差別議員、ネトウヨ議員が多数存在し、先日の武蔵野市の「外国人住民投票条例」否決もいい例です。私は外国人を市民として受け入れることは、人口減少社会の日本にとって避けられない選択で、「death or live?」 すなわち「滅亡or受け入れ」だと思っていますが、右翼的な議員(しかも国会議員までもが目立つのにいい機会だと乗り込んでヘイトを垂れ流してしまう。)と情弱のネトウヨが跋扈した挙句、否決されてしまった。あんたたち、井の中の蛙はとっとと滅びればいいんだよと、結果に悪態ついてました。
人口動態見れば、日本の進み得る道なんか、馬鹿でもわかるわ!一択だよ。なのに、そういうことが全国あちらこちらで起こっています。
また、そこに目をつけたのが今日、有罪判決が出たNHKを国民から守る党の立花孝志です。彼のyoutubeチャンネルのフォロワー数は個人名のものだけでも42万人。
彼らはちょっと目立ちさえすれば、バカな市民の数百票を地域からもぎとることなど造作ないことに気づいてしまったのです。民主主義、崩壊してるよね。orz
富山がどうなったか五百旗頭幸男氏は望月衣塑子氏との共著『自壊するメディア』で以下のように書いています。
僕は議会の腐敗を招いた一因には議員と市民の相関関係があると考えています。長年、地方議員は本来の「市民代表」ではなく「地域代表」として役割を担ってきました。道路や公園整備に、公民館建設、通学路にある危険箇所の改善など地域住民の要望を聞いては当局に投げかけて実現させる、いわゆる「御用聞き」です。地域の声を政策提案に繋げるのは議員の大切な仕事ですから、それ自体は何の問題もありません。ただそこには市全体を俯瞰するという重要な視点が欠けています。極論を言うと、ある地域にとって不都合なことでも市全体として価値ある政策ならば議員は積極的に提案すべきだし、地域住民も支持すべきだと思うんです。でも、実際はそうなっていません。議員は地域の顔色を伺うだけで御用聞きに徹し、市民もそうした議員を求める。自分たちの地域だけ恵まれれば良いと言った偏狭な発想に、議員も市民を絡め取られてしまっています。
いびつな相関関係の帰結が不正を認めてもやめない議員であり、不正議員を簡単に許してしまう市民です。議員が辞めないのは不正をしても地域住民が支持してくれるから、市民が許すのは不正をしても地域に貢献してくれる議員だから。そんな屁理屈によって戦後日本の民主主義が支えられてきたのだとすれば悲喜劇です。(87頁)
長くなりました。
最後に、前作でも感動的なスピーチで 小川淳也を激励した慶応大学の井出英策氏の『香川1区』での咆哮をご紹介して、この稿を終えます。
「誰がこんな国にした!?
自民党か!?平井卓也か!?
違う!あなたたち国民だ、あなたや、私の無関心がこんな国にしてしまったんだ!」
問われているのは政治家ではなく、市民であり、国民です。
・怒り出す元大臣、担がれる2世 選挙を映画にしたらやはり面白かった(朝日)
●富山市議はなぜ14人も辞めたのか――政務活動費の闇を追う 単行本
追記)
コロナを見て明らかなように、能力の高い議員や首長を選ぶのを怠れば、 それは市民の生死に直結します。滋賀県は今年、知事選と4市町での首長選があるようですが、関心を持っていただきたいと思います。⇒滋賀県知事選 私はほぼ読んでいませんでしたが、近江同盟新聞が休刊になって、市政の状況を知るすべがなくなったとうちの社長が嘆いていました。できるだけ、市民が「ゲーム感覚・サークル感覚」(?)で参加できる、やわらかい議会状況の第三者による情報提供が必要だと感じています。
追記2)こんなのも見つけたぞ。
一般公務員の報酬が適切かどうかは問いませんが、平成27年の国勢調査で彦根市民の平均世帯年収が500万というデータがありましたが、 コロナや若年貧困の現況を鑑みるに実質はせいぜい400万円強とみるのが正しいかと思います。
振り返って政治活動費込みで1人600万円の議員報酬、さて、妥当だと思える仕事を皆さんしてらっしゃるのでしょうか。
*全国市民オンブズマン連絡会議が、
・2021年度政務活動費調査(開示度ランキング・執行率) (21/10/22更新)
というのを公開しています。彦根市は非公開。滋賀県はなんと透明度で全国47都道府県中、聞いて驚け44位!
*くじ引き民主主義の現在と実現性についてJAMTHEWORLDで同志社大学の吉田徹教授が解説しています。無料。ご興味ある方はぜひ。
*この記事はこれらを参考にしています。youtubeです。BGM代わりにどうぞ。
町山智浩『はりぼて』監督 五百旗頭幸男と砂沢智史『ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ』監督 田部井一真 赤江珠緒 たまむすび2020 10 06(火)放送
・JAMTHEWORLD:2022-01-10 津田大介×大島新「ドキュメンタリー映画『香川 1 区』」(AMAZONのネットラジオで無料で聴取できます。毎日更新!お勧めです。)
・「地方議会議員の月給が高い」自治体ランキング(東洋経済):滋賀県は22位
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